十一面観音

2019年08月05日

私が子供の頃から見てた、バラバラの十一面観音。
でっかいアクリルケースに入れられたそれはずっと放置されていた。
育つにつれてその由来を聞いたと同時に、いろいろな父の側面を知らされた。

小1の時に甥3人に会い、関係性がよく理解できなかった。
と、同時に両親違いの兄が3人居ることを知った。
父の離婚の原因はその兄のお母さんにもアル中の父は暴力を振るってたからだ。
いつしか警察沙汰になり、拘留から帰ってきた頃に、家はもぬけの殻になっていた。
その寂しさを紛らわすように、この十一面観音の制作に向かっていたらしい。
アルコールも一切断ち、仕事をしながらこつこつと作り上げていた。
気持ち的には前の奥さんが戻ってくるのをひたすら待っていた。
私の母と出会うまで。母と出会ってからはその必要もなくなり、中途半端になっていた作品。
その後の長い年月で、下半身はずりおちてしまい、潰れてしまい、各部はあるけれども、どうつなぐのかわからない。
でもその各部はしっかりつくられていた。

仏像の衣をいかに薄く作れるか、
まるで空気のような薄さにしなければならない。
そして立ち姿を創るのは相当むずかしい、
重心を一本にしなければ立たない。
そういうことをこの十一面観音を見て聞かされて育ってきた私だけど、
芸大は入ったけど、そんな技量ない…。

さて、どうするか…修復できるのか?
芸大出たけど、私には絶対無理。
捨てられるのか?…それも心情的に無理。。。
こういうものを残されて解決を迫られてきた、私にはそういう星がついている。

そうだ、芸大の修復科だ!!
と卒業展示会が行われる3月に芸大に行き、
修復科の展示会場で黒柳さんをつかまえた。
そうして黒柳さんに託した十一面観音。
https://www.kuroyanaginamiko.com/

父のかわりに今度は彼女に試練を与えてしまっていた。
作業書に詳細が書かれてある。
体が弱い彼女は父のようにこつこつと作業を一つ一つ丁寧にこなしてくれていたけれどもライフステージの変化で、結婚し、子供が授かり、体調面で厳しく、なかなか作業がはかどらず、苦戦していたらしい。

そんな十一面観音が8年の歳月を経て出来上がってきた。
by yumuy at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | mia arte | *
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