うちの家業は鋳金だった。父が特殊だったけど、職人の仕事は受け継がれない。日本の技術の継承が廃れる現実を子供の頃から直視してた。技術を得たい若者はいっぱいいた。でも彼らも生活しなければならず、最低200万は雇うお金が必要だった。父は80歳を超えても仕事をしていたけれど、その200万を生み出すのには限界があった。
私は女だったから力が必要な鋳金という仕事には従事できないと最初からデザインの道に進んだけれど、結局芸術の世界でも同じことが起こっていた。
技術を得たい若者は居る。けれども生活収入を考えると、その夢も叶えられない。家族を持つことも考えから捨て去ってる人もいた。
そういう現実を目の前にして、私は大企業に就職した。
技術?そんなものは外注にやらせて、つなぐだけ。
リスク・責任は外注にもたせ、回避しながら、取り分を20〜30%搾取する。
確かにコミニケーションや営業力という点では勝っているかもしれないけれど、
下請け業者が居ないと何もできない。
実際、創り出している人たちは深夜残業当たり前、それが60歳過ぎの人もやっている状況。
なのに、なのに、発注元の方が給料が安定して高い、その企業の役員は椅子の上で指示しているだけでもっと高い。
これが日本の資産を使い果たし、すっからかんな頭でっかちの日本になっている状況だと思う。
もっと技術を得たい若者が夢を叶えられる社会にしていかねばならないんじゃないかと思うけど、もう遅いとも思う。